Supremacy In Single Focus Lens #3|OLYMPUS ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2.0 Macro

OLYMPUS OM-D E-M1 MarkⅡ + ZUIKO DIGITAL ED 50mmF2.0 Macro

オリンパスのマクロレンズといえば、フィルム一眼レフ用OMマウントのZUIKO AUTO-MACRO 90mm F2。開放値がF2と他社の同クラスのマクロレンズよりも1段明るく、絞り開放からクリアでシャープな描写が得られる傑作レンズだ。最大撮影倍率は0.5倍と単体のマクロ撮影能力は控えめだが、キレッキレの描写性能で高い評価を得ていた。

この90mmマクロの再来と思えるのが、フォーサーズシステムのZUIKO DIGITAL ED 50mm F2.0 Macro。焦点距離は短くなっているが、35mm判換算では100mm相当の画角が得られる中望遠マクロレンズだ。開放値はF2.0だし、最大撮影倍率は0.52倍(35mm判換算で1.04倍)と似ている点が多い。描写性能は絞り開放から良好で、F2.8まで絞ると鮮鋭度が増し、F4で解像度がピークに達するという印象がある。

描写性能がピークに達するF2.8〜4で撮るのがこのレンズの性能を引き出す秘けつ。このユキノシタはF3.5で撮影。

近接撮影時にはレンズ先端部が大きく繰り出される。光学系はフローティングシステムを採用し、撮影距離の変化による収差の変化を抑えている。そのおかげで最短撮影距離から無限遠まで変わらぬ描写性能が得られる。ただ、AFの挙動は古さを感じさせ、スムーズではない。MFで操作したくても、レンズ側にAF/MF切り替えスイッチがないので、カメラボディ側でMFに設定するか、S-AF+MFに設定して、AFで大雑把にピントを合わせた後、MFでピントを追い込むという使い方になる。

最短撮影距離近くまで接近し、絞り開放F2で撮影。中央の花にピントを合わせ、5枚のガクのボケ具合をみた。

いろいろ撮ってみて思ったことだが、絞り開放F2でのマクロ撮影は骨が折れる。今回はすべて手持ち撮影なので、わずかな体の揺れでもピントが外れ、何度も撮り直すことになった。三脚を使ったとしても、風で花が揺れれば同じこと。結局、何十枚か撮ったものの中からセレクトしたのが、ここに掲載した花の写真。

現在は、フォーサーズアダプターMMF-3を介してOM-D E-M1 MarkⅡに装着している。サイズはOM-D E-M1シリーズにぴったり。画角こそ中望遠レンズクラスだが、焦点距離は50mmと短いため、フルサイズ機用の90mmマクロや100mmマクロのような強烈なボケ効果はない。しかし、合焦面がキリッとシャープで、その前後がフワッとボケる描写は見事だ。

絞ればキリッとシャープな描写が得られる中望遠レンズ。スナップや風景の撮影にも活用できる。

上の写真は写大ギャラリーで森山大道展を観た後、近くを流れる神田川沿いをブラブラしたときに撮ったものだが、単焦点なので、思うようなフレーミングができる場所を探して行ったり来たり。ズームレンズ使用時であれば、こんな苦労をしなくてよいのだが。でも、さすが各種収差をしっかりと抑えた優等生。人工物で構成される都市風景や建築物の撮影でもカッチリ写る。

絞り開放でハトのポートレート撮影。ピントを合わせた目はシャープだが、その前後は大きくボケているのがわかる。

ボケ描写は花だけでなく、生きものの撮影でも効果的。私は人物撮影をしないので、公園のハトをモデルにF2で撮影。E-M1 MarkⅡのMFアシストの拡大をオンにし、目の部分を拡大させながらフォーカシングを行う。数枚撮った中で、顔をこちらに向けた瞬間がこの写真。目はピントピッタリで、首のあたりはもうボケている。フルサイズ機であれば、もっと強烈なボケが得られるのだろうが、このソフトでスムーズなボケ方は自然でいいと思う。

OM-D E-M1 MarkⅡ +MMF-3 + ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2.0 Macro

AFの挙動はイマイチだし、MFへの切り替えはカメラ側で行わなければならないなど、不満点はあるが、写りの良さは文句なしの中望遠マクロレンズ。このレンズがあるおかげで、オリンパスのマイクロフォーサーズ用マクロレンズは買わずにいる。本格的に花や昆虫のマクロ撮影をするならば、M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro や LAOWA 50mm F2.8 2× ULTRAMACRO APO が必要だと思うが、ゆるーく花や昆虫を撮るレベルの私には、ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2.0 Macro でも十分過ぎるのだ。