やんちゃなカルガモのヒナたち

毎年、5月10日〜16日は「愛鳥週間」。「バードウィーク」ともいう。野鳥と親しみ、野鳥を通じて自然を大切にする心を育むことを目的に設けられたもの。この時期、北海道でも雪解けが進み、本州では新緑が緑に輝き、山野に生き物の姿が多く見られるようになる気持ちのよい季節。北からの冬の渡り鳥は帰ってしまったあとだが、南から夏鳥が渡って来るし、様々な鳥がひときわ大きな声でさえずり、姿を見つけやすい時期でもある。

本州以南のどこの水辺にもいるカルガモ。私にとっては、他の野鳥が見つからないとき、被写体になってくれる頼もしい存在。

この時期は、多くの野鳥が繁殖の時期を迎えることも、この時期の楽しみのひとつ。営巣中の巣を覗き見たり、撮ったりするのはマナー違反だが、巣を飛び出し、木々の枝や水辺で親鳥にエサをねだったり、必死についていこうとする姿を観察したり、撮影することができるのはこの時期だけだ。

親鳥の声を聴き、大急ぎで“駆けて”ゆくヒナ。

私も例年、4月末から5月にかけて、近所の公園をパトロールし、カルガモやカイツブリが子育てする姿を探すようにしている。以前、住んでいた香川県では、大きな公園が近くにあり、シジュウカラやヤマガラの幼い個体を見るチャンスがあったが、ここ東京では樹上の鳥が多い場所が近くになく、どこの公園の池にもいる水鳥のヒナを探すことにした。

この公園では、4月末にヒナが生まれたとか。12羽が孵り、10日後に12羽すべてが生き延びているのは、訪れる人が多く、カラスやネコに襲われるリスクが低いためだろうか。

5月10日、自宅からの徒歩圏内にある東京都杉並区の公園で、ようやくカルガモのヒナたちに合うことができた。孵化から10日ほど経っているようで、小さいながらもしっかりとした姿をしている。数日早ければ、親鳥がヒナ12羽を連れて水面を泳ぎ回る姿を見られたのだが、やむを得ない。生まれて10日も経つと、好奇心が勝るのであろう。1羽で勝手に泳ぎ回る姿が、そこここで見られた。

自立心を持ち始めていることを感じさせるカルガモのヒナ。まだまだ、小さく幼いが、凜々しく見える。

水面にいる水鳥を撮るとき、水面への映り込みを重視して撮影ポジションを選ぶ。基本はカメラを低い位置に下げて撮るのだが、公園によっては難しいこともある。このときも、地べたに座り込んで、カメラを構えた。思い通りのフレーミングを撮るためには、根気強くシャッターチャンスを待たなければならない。近くに来た幼い子どもが不思議な顔して見ているが、構わずチャンスを待ち続ける。

この公園には2日間通い、のべ6時間ほど粘って2,000枚近くシャッターを切った。似たカットも多く、人に見せてもいいと思えるのは10カット程度。カルガモは撮りやすい野鳥なので、これでも歩留まりは良いほう。生き物を撮るということはこういうことだろう。でも、野鳥と向き合い、ファインダーに集中するこのひとときは、心地よいものである。